マルイ、パルコ、ルミネ、109・・・勘違いされやすいですがこれらは実は「百貨店」ではなく、「ファッションビル」と呼ばれる業態なんです。
この記事ではファッションビルと何か、またそれぞれのファッションビルの特徴を比較していきたいと思います。
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百貨店とファッションビルの違い
百貨店とは?

伊勢丹新宿店(Wikimedia CommonsのKakidai氏による画像)
まず百貨店について。百貨店といえば三越、伊勢丹、髙島屋などたくさんありますね。
百貨店の定義はいろいろあるんですが、日本における最も一般的な定義は「日本百貨店協会に加盟しているかこと」でしょう。三越も高島屋も大丸も全部、この日本百貨店協会というのに加盟していて、加盟店数は全国で200店以上を数えます。
「じゃショッピングセンター等とは何が違うの?」という話ですが、百貨店はショッピングセンターなどと違って、
・テナントの商品管理・販売に対して、百貨店側が積極的に関わってくる
という点に大きな違いがあります。つまり百貨店は「自分がテナントの中身まで厳密に管理することで品質を保っている」という意識が高く、結果として
・テナント側だけでなく百貨店スタッフも実際に委託販売をする
・店舗の内装・商品の包装なども百貨店ごとに統一されている
・レジはテナント別ではなく、フロアごとにまとまっている
・高級ブランドが多く、ターゲット層はやや中高年寄り
というスタイルが一般的になっています。ほかには「デパ地下がある」「最上階はレストラン街」とかも、典型的な百貨店のスタイルですね。
ファッションビルとは?
次に、本題のファッションビル。
マルイ、パルコ、ルミネ、109、ラフォーレなど色々ありますが、実はファッションビルの明確な定義はないんです。日本百貨店協会のような業界団体もなく、消費者やメディアが勝手に呼称しているという感じですね。
ただファッションビルは日本百貨店協会には加盟していないので、百貨店ではなくショッピングセンターの一種です。なので百貨店とは違い「テナントが自由に売場を作って販売する」傾向があります。結果として、
・店員はテナント側のスタッフがほとんど
・店舗の内装・商品の包装などはテナントごとに違う
・レジはテナント別
・リーズナブルなブランドも多く、若年層向け
という特徴があります。「じゃ普通のショッピングセンターと何が違うのよ?」という話ですが、個人的なイメージとしては
・ショッピングセンター:2~3フロアで横に広く、郊外によくある
・ファッションビル:百貨店のように6フロア以上あることが多く、駅前とかによくある
って感じ。なんかちゃんとした説明になってなくて申し訳ありません。
まあわかりやすく言えば、ファッションビルは「百貨店風ショッピングセンター」。つまり建物の形は百貨店だけど、中身はショッピングセンター、って感じだと思っています。
代表的なファッションビルの特徴
マルイ・モディ

北千住マルイ
マルイは首都圏、関西、福岡などに展開するファッションビルで、「OIOI」のマークが有名。店舗は首都圏に圧倒的に多いです。
歴史的にはもともと割賦販売(分割払い)で事業拡大した経緯があり、その中で生まれた「赤いカード」(現在のエポスカード)は実は日本最初のクレジットカード。現在でもファッションビル運営と同時にクレカ会社としての側面が強いです。

丸井吉祥寺店
日本百貨店協会に加盟してはいないものの、以前は百貨店的な運営を行っていました。しかし近年はショッピングセンター化を急速に進めています。とはいえデパ地下「まるい食遊館」、レストラン街、シューズなどの直営売り場があったり、マルイ独自の紙袋を用意していたりと、今でも百貨店っぽい部分があります。
2006年からは専門店を中心とした「モディ」も展開。陳腐化したマルイはすぐモディに転換すしたり、場合によっては外部テナントに完全に貸し出したりと、出店体制が柔軟です。本店は新宿(3館体制)ですが、意外にも売上トップ店舗は北千住店。
店舗(マルイ):新宿(本店)・大宮・志木・草加・柏・池袋・渋谷・中野・有楽町・上野・北千住・錦糸町・吉祥寺・国分寺・町田・横浜・溝口・海老名・静岡・京都・なんば・神戸・博多
店舗(モディ):川越・渋谷・柏・町田・静岡・戸塚
パルコ

福岡パルコ(Wikimedia Commons / 新幹線)
ファッションビル業界でマルイと双璧をなすパルコ。店舗網はやはり首都圏中心ですが、マルイと比べて北海道~九州まで幅広く全国展開しています。
パルコの始まりは1969年、池袋駅ビルから撤退した百貨店「丸物」の後継テナントとして、西武百貨店主導のもと池袋パルコが開業。1973年には渋谷にも進出。それまでただの乗換駅だった渋谷を「若者の街」に作り替えたのは、パルコをはじめとしたセゾングループといっても過言ではありません(109はパルコに対抗して1979年開業)。
1980~90年代の全盛期においては単なる商業施設としてではなく、パルコ劇場やCLUB QUATTRO(ライヴハウス)といった文化施設なども手掛けたり、独特なCMを放送したりすることによる「若者文化の発信源」としての側面もありました。

津田沼パルコ
その後セゾングループは解体、西武からも離れ、2012年に百貨店「大丸松坂屋」の傘下となりました。
さすがに現在は昔ほどの求心力はないものの、近年は上野・錦糸町に新規開業、2021年には心斎橋への開業も予定されていて、強気の出店姿勢です。渋谷パルコは建て替えのため現在休業中、2019年秋に生まれ変わって再開店する予定です。
店舗:池袋(本店)・渋谷・札幌・仙台・浦和・新所沢・上野・錦糸町・吉祥寺・ひばりが丘・調布・静岡・名古屋・松本・広島・福岡・熊本
ルミネ

ルミネエスト(Wikimedia Commons / Kakidai )
JR東日本が手掛ける駅ビル型ファッションビルです。首都圏のみなので、関東以外の人はご存じない方も多いかもしれません。
駅ビル・・・といっても独自進化を遂げ、その辺の駅ビルにはないブランド力があります。現在も運営はJR東日本の子会社ですが、2011年には西武有楽町店跡にルミネ有楽町が開業、駅ビルからの脱却を果たしました。
最初にオープンしたのは1976年開業のルミネ新宿(現:ルミネ新宿1)。新宿ではその後さらに店舗拡大し、現在はルミネ1・2・ルミネエストの3館体制となっています。
店舗にもよりますが、レディースファッションに特化した傾向で、新宿なんかは若い女性であふれてます。またマルイ、パルコといったほかのファッションビルに比べて低価格なショップが多く、高校生など10代も買い物を楽しめる形になっています。
店舗:新宿・池袋・有楽町・品川・荻窪・北千住・立川・町田・大宮・川越・横浜・大船・藤沢
OPA(オーパ)

河原町OPA(出典:Wikimedia Commons)
ダイエー系のファッションビルで、1988年に新神戸オリエンタルシティに開業したのを皮切りに全国にチェーン展開しました。ダイエーがイオンに吸収された現在は、イオン系のファッションビルとなっています。
もともと親会社のダイエーが神戸発祥ということでOPAも西日本に店舗が多く、マルイやパルコが多い関東などではあまり馴染みがないかもしれません。
イオングループは、旧イオン系の「フォーラス」、旧マイカル系の「ビブレ」といったファッションビルも抱えていましたが、近年はOPAブランドに順次統一されつつあります。
店舗によって規模・方向性にかなり差があり、心斎橋・河原町・藤沢のようにアパレル中心の典型的ファッションビルの店舗もあれば、食品売場のみの大分OPAのように到底ファッションビルとは言えないような店舗もあります。
店舗:聖蹟桜ヶ丘・新百合ヶ丘・藤沢・河原町・梅田・心斎橋・三宮・水戸・高崎・秋田・那覇・八王子・大分・キャナルシティ博多
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